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King Crimson, In the Court of the Crimson KingのUKオリジナル [アナログ・コレクターの覚書]

以前、『宮殿』(言うまでもなく、キング・クリムゾン(King Crimson)『クリムゾン・キングの宮殿(In the Court of the Crimson King)』のこと)のUKオリジナル(Island Records ILPS 9111)のことを記事にしたことがあるが(https://sawyer2015.blog.so-net.ne.jp/2015-10-11-1)、そこで問題にした「マト2/2のレーベル違い問題」は、その後、問題がすっかり解決したのに、まったく報告していなかった。


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(『宮殿』のUKオリジナル、ピンクiレーベル盤は、手元に3枚ある。)



まず、問題を確認しておこう。

『宮殿』のUKオリジナル、ピンクiレーベルのマト2/2盤については、次の二つの事実が確認できる。

・レーベル形状の違う2種類のものが存在する。
・Runoutは下記の1種類しかない。
  Side A ILPS 9111 A▽2 1 4
  Side B ILPS 9111 B//2 1 5


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(『宮殿』マト2/2のレーベル形状その1。リム以外の全体がテクスチャー加工のもの。)



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(『宮殿』マト2/2のレーベル形状その2。中央部分のみテクスチャー加工のもの。)



Runoutが1種類しかないことから、ボクは、スタンパーが1枚しか存在しなかったという前提で考えた。
スタンパーが1枚しかないのなら、レーベル形状の違いはプレス機由来ということになる。
そうすると、同時期に2種類のプレス機が同一工場にあって、1枚のスタンパーを使ってプレス機をかえながらプレスしたということになる。

でも、一つの工場に二種類のプレス機があるなんてことがあるんだろうか?
仮にあるとしても、どうして別のプレス機でプレスしたんだろう?
ここで壁に突き当たって、先に進めなかったのだった。

しかし、この推論は、最初から間違っていた。

Runoutが1種類しかないからといって、スタンパーが1枚しかないとは限らない。
そもそも、このPhonodisc Ltd.(イギリスにある、フィリップス系のプレス工場)・カッティングのマトでは、A▽2やB//2などのラッカーを示す数字のあと、最初の数字(1しか見た記憶がない)がマスター、次の数字がマザー、その次の数字がスタンパーを示すはずで、最低限3つの数字が並んでいないといけないのである。
つまり、A▽2 1 4とかB//2 1 5とかは、ありえないのだ。


20181230-4.jpg
(『宮殿』のマト2/2盤のSide 2のRunout。凸(マスター)の1と凹(マザー)の5のあとに、凸(スタンパー)の数字がなければならないのに、存在しない。)


ありえないと言ったって、実際に存在しているわけで、では、いったい何故そんなことが起こったんだろうか?

この謎を解くカギは、レーベル形状に隠されている。
リム部分を除いて、全体にテクスチャー加工されたようなこのレーベルは、Orlake Records(イギリスのプレス工場で、Movilex Ltd.というプラスチック会社の子会社)でプレスされたレコードの特徴である。

Orlakeはカッティングもやっているが、その場合は、Matrixが+A/+Bというような感じで+がつく。
そして、ここが重要なのだが、Orlakeでカッティングおよびプレスされたレコードは、そのラッカーを示す文字のほかには、Runoutには何も刻まれない。
マザーやスタンパーを示す数字は刻印されないのである。


20181230-5.jpg
(Fairport Convention, What We Did On Our Holidays-Island Records ILPS 9092のRunout。マザーやスタンパーを示す数字は刻まれていない。)


つまり、こういうことだ。
『宮殿』の場合、Matrixの打ち方からして、Phonodiscでカッティングが行われたんだろう。
とりあえず、マト2/2でGoサインが出て、委託プレスを依頼していたOrlakeには、1 4(Side 1)と1 5(Side 2)のマザーが送られた。

ところが、マト2/2にストップがかかり、Phonodiscでは再度カッティングが行われた。
そこでGoサインが出たのは、マト2/3、マト2/4、マト3/3だったが、Orlakeには新たなマザーは送られず、そのままマト2/2でプレスされた。

マト2/2のRunoutが1種類なのは、Orlakeでは、マザーやスタンパーを示す数字をRunoutに刻印しないのがルールだったからである。
実際には、スタンパーは何枚も作られていたはずだ。

レーベル形状が異なっているのは、スタンパーが作られた時期が違っていたからだ。
当然、リム以外のレーベル全体にテクスチャー加工があるものが初期で、中心部分のみテクスチャー加工なのはレイトである。

Orlakeはずっとこのマト2/2のスタンパーでプレスしていた。
ピンク・リム・レーベルあるいは島レーベルと呼ばれるレーベルにデザインが変更された後もマト2/2のスタンパーでプレスしていたので、ピンク・リム・レーベル(島レーベル)の2/2というのも存在するわけである。

さて、マト2/2がOrlakeの委託プレスだとすると、オリジナル・ファーストプレスの条件の一つにオリジナル工場のプレスであることを加える考え方では、条件を欠くことになる。
つまり、Phonodiscプレスのマト2/3、マト2/4、マト3/3の盤がオリジナル・ファーストプレスというわけだ。

とはいえ、同じカッティングならともかく、Side 2についてはマトが進んでいる。
Phonodiscプレスをオリジナル・ファーストプレスとした場合、Orlakeプレスのマト2/2はボツカッティングのテスト・プレスみたいなもんである。
鮮度的には、有利だ。
Side 2のカッティングも、ボクは、マト2のほうが好きだ。

まぁ、ボクがマト2/2盤を手に入れた15年くらい前に比べると、いまやバカ高くなっちゃってるので、あんまりオススメはできないんだどね・・・


タグ:King Crimson
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