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Friday Night in San Franciscoの日本盤とUS盤 [アナログ・コレクターの覚書]

昨日の記事に引き続いて、ボブ・ラディック(Bob Ludwig)がマスタリングを手掛けたレコードをとりあげよう。
アル・ディ・メオラ(Al Di Meola)、ジョン・マクラフリン(John McLaughlin)、パコ・デ・ルシア(Paco De Lucia)という3人のスーパー・ギタリストによるライブ・アルバム、” Friday Night in San Francisco”である。


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(日本盤とUS盤だが、表側はほとんど違わないので、日本盤のほうに帯がないと、こうやって並べてもどっちがどっちかわからない 笑)


内容については、ボクなんぞが何か言うまでもない大名盤だ。
3人のスーパー・ギタリストによるスリリングでエキサイティングな白熱のライブ演奏には、ひたすら圧倒される。
問題は、「音」である。

このライブ・アルバム、大名盤なんで、一家に一枚はあると思うが(笑)、まぁだいたい日本盤だろう。
例にもれず、うちにあったのも日本盤(CBS/Sony 25AP 2035)だった。

しかし、このレコード、裏ジャケットに明記されているように、ラディックがマスタリングを手掛けているのである。


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(裏ジャケットには”Mastered at Masterdisk, N.Y. by Bob Ludwig”と明記されている。)


ラディックのマスタリングとなれば、USオリジナル(Columbia FC 37152)が聴きたくなる。
ってことで、ずっとRLカットのUSオリジナルを探していたのだが、見つからない。
見つけたUS盤はすべて、MASTERDISK刻印の横に、RLではなくBKとサインされていた。
つまり、ラディックではなく、ビル・キッパー(Bill Kipper)がカッティングしたものだったのである。

そうこうするうちに、ボクのツイッターのTLに、「このアルバムは日本盤が最強の音質」みたいな情報が流れてきた。
USオリジナルの音はダメだという。


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(最強とされる日本盤は、見開きインサート(裏は解説)付き)


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(日本盤のレーベル。手持ちのMatrix末尾はA1/B1で、ついでにスタンパーは1-A-9/1-A-10だった。)


確かに、日本盤の音も悪くない。
いや、むしろ、かなり良い。
とはいえ、US盤はラディック・マスタリングである。
RLカッティング盤が存在するかどうかわからないが、BKカッティング盤であっても、ラディック親分がマスタリングしたものを、キッパーが台無しにするとも思えない。

しかし、「日本盤最強」と言われてしまうと、BKカッティング盤はあまり買う気になれない(笑)
で、あるのかないのかわからないRLカッティング盤を探していたのだが、しばらく前に思い立ってDiscogsで調べてみたら、Matrix末尾1AですでにBKカッティングなのである。
RLカッティング盤が存在する可能性は、すごーく低い気がしてきた。

そんなわけで、安レコだということもあり、つい先日、とりあえず見つけたBKカッティングのUS盤(Matrix末尾は1H/1Eで、サンタマリア工場産)を買ってみたのだった。


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(MASTERDISK BK刻印)


で、早速聴き比べてみたのだが、「日本盤最強」といわれるのが理解できた。
ボクには、US盤も、鮮度感や立体感はそんなに悪くないと思ったのだが、いかんせん日本盤に比べてギターの音色がひどい。
胴鳴りで増幅される低域がないので、アコギらしい音色で鳴らないのである。
それに対して、日本盤は低域が豊かで、ちゃんとアコギらしい音色で鳴る。
こりゃ、確かに日本盤の圧勝だ。

名匠ラディックがやっちまったのか?
それとも、やっちまったのはキッパーのほうか?

しかし、考えてみれば、どっちかがやっちまったとしても、製品化される前にチェックが入るだろう。
このUS盤のマスタリング/カッティングだって、テスト・プレスを聴いたうえで、プロデューサーやアーティストがゴーサインを出したはずだ。
ってことは、このUS盤の音こそが、狙った音なのか?

そう思ったら、US盤の音の狙いを見極めたくなった。
方法は簡単だ。
音量をあげればいい。
それ以外に考えられない。

先日、US盤を手に入れたときの比較でも、そこそこの音量で聴いたのだが、今日はさらに音量をあげて聴いてみた。

で、音量をあげていくとどうなるか。
US盤は、やっぱり化ける(笑)

もともと、US盤も低域が入っていないわけではなく、絞られているだけなので、音量をあげればそれなりに出てくる。
そして、ある程度の音量から、アコギらしい鳴り方になってくる。
アコギらしく鳴りだすと、3人のギターのそれぞれの音色の違いが、実に明快だ。

それに対して日本盤は、ある程度の音量から低域が少し邪魔になってくる。
低域が必要以上に膨らんで、3人のそれぞれのギターの音色の違いが曖昧になってしまう。

音量をあげたときの音場の違いも激しい。
日本盤は、小さなライブハウスでかぶりつきで聴いている印象だが、US盤はホールの響きだ。
このライブ・アルバムが収録されたのは、サンフランシスコのウォーフィールド劇場(The Warfield Theatre)というところで、2300席ほどの劇場らしいが、日本盤ではどんなに音量をあげてもその空間の感じは出ない。

というか、日本盤は音量をあげていくと、少なくともうちのシステムでは、そのうちバランスが崩れて破綻する。
で、その日本盤が破綻するあたりからが、US盤の本領発揮なのである。


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(US盤は、インナースリーブ付き。裏側は、アル・ディ・メオラとジョン・マクラフリンがコロンビアから出しているアルバムがそれぞれ4枚づつ掲載されている。)


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(US盤のレーベル。)


つまり、「大きな部屋で大音量で鳴らしたとき、コンサートホールのような音場が現れ、3人のギターの音色の違いがはっきりとわかるように鳴る」というのが、US盤の狙っている音なのだろう。
ただ、そうだとしても、低域は絞りすぎの気がするけど。

しかし、まぁ、このUS盤の狙いを日本の再生環境で実現しようって人はあんまりいないだろうなぁ・・・
日本盤の音作りで大正解だと思う。

さて、この記事を読んで、US盤にチャレンジしようって人はあまりいないと思うが、もしその気になったときには注意が必要である。
鮮度感や立体感はレイトなら当然鈍るが、レイトかどうかはMatrix末尾だけでは必ずしも判断できないからだ。

このレコードではないのだが、つい最近、同時期のUSコロンビアのレコードで、Matrix末尾が1C/1Fの盤と1F/1Cの盤で鮮度感や立体感がまるで違うという経験をしてしまった。
二枚の盤には、Matrix末尾がAB面逆ということ以外に一つだけはっきりとした違いがあったので、それで初期盤とレイト盤を区別できそうな気はしているのだが、このあたりの話は、まだ確信がもてないところもあるし、また今度ということで(笑)

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